03 空を飛ぶカメパン

haco No.3

星空のお布団に潜りこんで、僕は、こぶしを握るように体を固く丸めた。そして、ぎゅっと目を閉じる。

まぶたの奥の夜空では、小さいけれど、僕には羽があった。ゆっくりだけれど、空を飛ぶことができたのだ。夢中で空を飛んでいたら、こぶしがだんだん緩んできて、しっぽをぶるんと振るわせてみる。そしたら楽しくなってきて、今度はつま先をのそっと伸ばしてみた。これは気持ちがいいぞとなって、にっこりと頭ものぞかせた。

星の大地に舞い落ちた一粒の種は、やがて僕の夜空に根を下ろし、小さな春の芽を出した。

おはよう。青空だ。

これは、空を飛ぶカメパンが、朝の食卓に上るまでの、ちょっとしたお話。