ふっくらつやつや新米の酢飯でできたからだは、ひと粒ひと粒きゅきゅっと整え、海苔やら卵やらでくるりと巻かれたうろこは、一枚一枚ていねいに並べ、鯛の大将は、念入りにおいしい身支度をしました。
それから、まだ誰もいない静かな食卓の海を、見まわりをするようにゆっくりと泳ぎました。水玉模様のテーブルクロスの海は、広々としていて気持ちがよかったけれど、なんだかだんだんさみしくなってきました。
鯛の大将は、はやくみんなに会いたい!と思いました。
やがて、食卓にはたくさんの人々が集まり、とてもにぎやかになりました。鯛の大将は、水玉模様の海をいきいきと泳いでまわり、みんなはうれしそうに大きな口をあけて、鯛の大将をほおばりました。
鯛の大将は、またみんなに会いたい!と思いました。